桜庭一樹の「私の男」を読んで

「私の男」:桜庭一樹

2007年の直木賞作品:タブーな近親相姦

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「おとうさん、おとうさん、私の男」、タブーな近親相姦の話です。でも、作者の桜庭一樹が女性だったことが、読む方としては救われます。殺人者として捕らえられることもなく、最後まで不道徳で、折れないこの小説が好きです。

1993年7月12日、200人以上亡くなった北海道南西沖地震の奥尻島の津波のモチーフが物語の始まりです。その津波で両親と兄妹を亡くし、生き残った小学4年生の花(9才)を遠縁で紋別の海上保安庁に勤めていた腐野(くさりの)淳悟(36才)が親戚の反対を押し切り、引き取って、父親になった。花と淳悟の振る舞う形容表現が緻密で、劇画のようです。

花と淳悟、親子の二人、寄り添う二人、花の妖しい母性愛、肉体を求め合う二人、そして殺人者である二人、交じり合う二人の汗に妖しい花の匂いがします。

女は、子供でも男を母のように癒せる妖しい本然の性があることを書きたかったのだろうか。実は、花は淳悟が17才の時の実の娘です。血の絆の究極を書きたかったのだろうか、などと無理に考えたりしないで、先入観なく、妖しい小説と思って読んだ方が良いと思います。

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