綿矢りさの『インストール』を読んで

『インストール』:綿矢りさ

Unknown-17

初めて読んだ綿矢りさの小説は『蹴りたい背中」です。『インストール』を先に読んでいれば、『蹴りたい背中』の最年少芥川受賞には驚かなかったでしょう。小説家になるという意気込みが感じられます。
『インストール』は綿矢りさが17歳、高校二年生の冬休みに書き上げたそうです。女子高生の生活をランランと書いた小説ではありません。物語は奇想天外です。情景の描写も高校生とは思えません。それに思い切りのいい性表現には驚きます。他の女性作家に刺激を与えたのではないでしょうか。恐ろしく早熟な天才はいるんだなと思いました。

縦書きエディター

Hagoromo
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Price: 19,99 €

私のあらすじ

私は高校三年の朝子。無遅刻無欠席、受験勉強で疲れている 。「毎日みんなと同じ、こんな生活続けていいのかあ」と同級生の光一に愚痴る。「一回学校を休んで休養とったら?」そんな流れで、受験戦争から脱落して、学校を休むことになる。

早速学校を早退して夕方まで眠る。目を覚まし、窓から射す西日が照らされた部屋の汚さに恐怖を感じる。そして大掃除を思いつく。部屋のなかにあるすべて、机、本棚、コンピューター、ピアノを捨ててしまおう。母子家庭、仕事している母は「夜中、部屋でなにしていたの?」、とドアが閉まっている部屋を一瞥するだけだった。プライバシーの意味を勘違いしている母子関係である。

物語は捨てたコンピューターから始まる。コンピューターを捨てることだけは迷った。祖父がメールを交換しようと買ってくれたものである。メールを交換する前に祖父は亡くなった。コンピューターのスイッチを入れたが正常な起動画面にならない。捨てると決意する。

マンションのゴミ捨て場に部屋がそっくり移っていた。最後にコンピューターを置くと、地べたに座り込む、さらに寝転がった。そして動けない。
「大丈夫ですか?」小学生くらいの男の子が心配そうに声をかけてくれた。男の子は壊れているはずのコンピューターを「直せる」と言って持ち帰る。

ひょんないきさつで、同じマンションの家に「パンツ」のお返しに図書券を持って訪問する。ドアを開けると、あの男の子(かずよし)が出て来た。家には他に誰もいない。コンピューターは部屋の押し入れのなかに置いてあった。

大人のように冷静なかずよしから「僕と組んで働く?」と仕事をすすめられる。「どんな仕事?」「フウゾクなんです。チャットいうインターネット上のシステムを使って男の人と、エッチな会話するっていうのがこの仕事の内容なんですけど、—」、かずよしは女性に偽ってチャトメールでアルバイトをしていた。そして私は、かずよし家の鍵を預かり、誰もいない家に忍び込み、かずよしが学校に行っている時間に”みやび”の名前でチャト嬢として押し入れのなかで働くことになった。

ぬれた。一つHな言葉が書かれるたびに、一つHな言葉を書くたびに、下半身が熱くたぎって崩れ落ちそうになり、パンツが湿った。その会話の内容に感じるというより、自分が今やっていることの不健康さに感じてしまうのだ。
漢字を使わずなるべくバカっぽい言葉を書くように、というのはいつも気をつけていた。他は特に何も意識せず、ただ流れる水の如く客の男の興奮の勢いに乗って言葉を作るだけである。

しんすけ>雅ちゃんは何歳ねんや
みやび>26さい***
しんすけ>もうおばんやないかー俺は乳首がピンクの女子高生と話したいねん
みやび>みやびもぴんくだよお
しんすけ>ほんならええわ
みやび>ありがとっ

落ちはある。

「努力しなさいよ。私も学校に行くから。何も変われていないけど。」
かずよしは驚いた顔をして私を見つめ、そのまま、おめでとうとうと言った—」

早熟な子供が、年齢制限の垣根を飛び越えて読んだ本の疑似体験がなせる技なのでしょうか。

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