三島由紀夫の「夏子の冒険」を読んで


三島由紀夫の「夏子の冒険」

良家のお嬢さんの恋愛、冒険小説です。

三島由紀夫の作品で「潮騒」だけが他の作品と異質な青春純愛と小説と思ってました。その数年前に週刊朝日に連載された「夏子の冒険」という青春恋愛、冒険小説がありました。1951年の作品です。連載小説なのでリズムが良く、コミカルで劇画のような小説です。同じ頃、女子高校を舞台にした石坂洋二郎の「青い山脈」が大人気だったようです。戦後間もない日本で、女性の自由闊達さを描いた恋愛小説が人気だったようです。

良家のお嬢さん夏子は、まわりの男達の気概のなさに退屈して、突然函館の修道院に入ると言いだす。言い出したら聞かないお嬢さんです。函館に向かう夜行列車に乗ろうとした上野駅のホームで、夏子は猟銃を持った若者の眼の耀きに惹かれてしまいす。そして一転、修道院はやめ、人食い熊に復讐に燃える若者と共に熊退治に出かける。なんとか熊を退治して将来の約束をした。結婚生活の夢を語り、すっかり凡庸になった若の眼に夏子は失望してしまう。青函連絡船が青森港に着くと、突然「やっぱり、もどって修道院へ入る」と皆を唖然とさせる。わがままお嬢さんの冒険小説です。

村上春樹の「羊をめぐる冒険」は、「夏子の冒険」のパロディであるという仮説があるそうです。「それはないでしょうね」 こんど村上春樹を読み直すとき意識して読んで見ましょう。

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