大人の英作勉強:太宰治の『富嶽百景』

太宰治の『富嶽百景』で英作勉強

写真は河口湖の天上山から撮った富士山です。天上山は『富嶽百景』の舞台となった御坂峠の天下茶屋と富士山とを結ぶ直線上にあります。太宰治と同じ角度で見える富士山だと思っています。

『富嶽百景』..題名通り、太宰治の頂点の作品だと思っている。

原文

ねるまへに、部屋のカーテンをそつとあけて硝子窓越しに富士を見る。月の在る夜は富士が青白く、水の精みたいな姿で立つてゐる。私は溜息をつく。ああ、富士が見える。星が大きい。あしたは、お天気だな、とそれだけが、幽かに生きてゐる喜びで、さうしてまた、そつとカーテンをしめて、そのまま寝るのであるが、あした、天気だからとて、別段この身には、なんといふこともないのに、と思へば、をかしく、ひとりで蒲団の中で苦笑するのだ。
くるしいのである。仕事が、——純粋に運筆することの、その苦しさよりも、いや、運筆はかへつて私の楽しみでさへあるのだが、そのことではなく、私の世界観、芸術といふもの、あすの文学といふもの、謂はば、新しさといふもの、私はそれらに就いて、未だ愚図愚図、思ひ悩み、誇張ではなしに、身悶えしてゐた。

私の翻訳(勉強のための翻訳です)

 Before going to bed, I always open the curtains slightly and gaze at Mount Fuji through the window. On moonlit nights, the mountain appears pale, resembling a water nymph’s figure. I often sigh deeply, appreciating the sight. The stars in the sky look big, and I anticipate a sunny day tomorrow. My modest pleasure lies in the hope of good weather. After taking in the view, I quietly close the curtains and retire for the night.
 However, as I lie in bed, I realize that tomorrow’s weather will not significantly impact me. I smile wryly at the thought. As a professional editor, I have always been passionate about writing. Yet, I have also been plagued by doubts about my worldview, artistic endeavors, future literature, and originality. These concerns cause me great agony and worry.



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コメント

  1. いわのふ より:

    太宰好きです。英語になさるとは。。。さすがに読み込んでらっしゃいますね。

    • appream より:

      いわのふさん
      学生の頃は退屈で読みきれなかった太宰治ですが、いまは大好きです。コメントありがとうございます。