大人の英作勉強;坂口安吾の『桜の森の満開の下』

大人の英作勉強;坂口安吾の『桜の森の満開の下』

坂口安吾全集

先日、映画『ファンタスティクビーストと黒い魔法使いの誕生』を観たとき、シネマ歌舞伎『新作』『桜の森の満開の下』が2019年4月に公開される予告があった。ゾクッとするほど美しい女を背負って、満開の桜の下を駆け抜けようとする山賊、どんな妖艶な色相の舞台なのだろか。
映画の帰り、青空文庫で読み直してみた。

—どういう不安だか、なぜ、不安だか、何が、不安だか、彼には分らぬのです。女が美しすぎて、彼の魂がそれに吸いよせられていたので、胸の不安の波立ちをさして気にせずにいられただけです。
 なんだか、似ているようだな、と彼は思いました。似たことが、いつか、あった、それは、と彼は考えました。アア、そうだ、あれだ。気がつくと彼はびっくりしました。
 桜の森の満開の下です。あの下を通る時に似ていました。どこが、何が、どんな風に似ているのだか分りません。けれども、何か、似ていることは、たしかでした。—

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