この歳で、はまってしまう『the Catcher in the RYE』(ライ麦畑でつかまえて)

『the Catcher in the RYE』:J.D.Salinger

今年の2月に映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぽっちのサリンジャー』を観る前に、サリンジャーの『the Catcher in the RYE』の原書を読んだ、あわてて読んだので理解度50%ぐらいだったでしょうか。

村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読む前に、もう一度原書を読んでみた。(面白いと言うよりは、はまってしまう)。反社会的な高校生の主人公、ホールデンの行動に共感したのはなくて、何でしょうか、(文体のリズム)と(登場する人たちのディテールな描写)にはまってしまったような気がする。

臨場感がある。映画を見ているようにイメージできる。それはウェイターであれタクシードラバーであれ、登場する人物の容姿、動きの描写が丁寧で手抜きがないからです。

最初に読んだときは、口語体で書かれた英語をよく理解できなかったが、読みなおして文体に慣れると、リズムがあって読みやすい。

野崎孝訳の日本語タイトル『ライ麦畑でつかまえて』は、原書タイトルを受け身にしたようなタイトルで、ちょっとロマンス小説的ですが、『the Catcher in the RYE』の意味は、”背の高いライ麦畑のなかに潜って走り回って遊んでいる子供たちが誤って崖から落ちないように捕まえてあげる人になりたい”ということで、大人、社会には反抗的なホールデンは、年少の子供たちを思う優しさを持っていた。このタイトルが、この小説の落としどころになっている。

16歳の高校生ホールデンがクリスマス休暇前に学校を退学させられることが決まっていた。これまでもホールデンは3つの学校を転校している。5講座取ったうちの4講座が落第点だった。追試の勧めに応ぜず、退学が決まった。

ホールデンは、同級生、女友達、先生、学校、社会、ルールのことごとくに、”phony”, “moron”, “crazy”, “stupid”, “awful”, “terrible”, “hell”、といった愚か呼ばわりする言葉で、逆らった態度をとる反抗的な少年です。

それが、ルールに反抗的な十代後半の若者の共感を呼んで大ベストセラーになりました。アメリカで、この小説に影響されて犯罪を犯した人がいます。しかし、その人たちは都合の良いところだけを読み返し、最後まで読んでいなかったのでしょう。

物語の舞台は1945年頃のニューヨークです。退学は決まっていたが、両親は退学することを知らない。クリスマス休暇で家に帰る日は決まっていて、それまでは寮で過ごさなければならない。しかし同室の先輩と喧嘩になり、寒い雪が降る夜に寮を飛び出す。裕福な家庭に育ち、お金は持っていたホールデンはホテルに泊まり、歳を偽って、夜遅くまでバーで酒を飲み煙草を吸い、バーテンダーに軽口をたたき、タクシーの運転手をからかうようなジョークを言い、大人のように背伸びする。昼は女友達を電話で呼び出し遊びまわったいた。

持っていたお金も底をつき、タクシーに乗ることもできず、厳寒の夜に彼は家に向かって歩いている。彼は孤独を感じ、しだいに憂鬱になっていく。現実と向き合わなければならない。しかし両親と向き合う勇気がない。

現実から、家族から逃避しようする彼を、説得させて新たなスタートラインに立たせることができたのは誰なのでしょうか? 彼は愛する妹に会います。妹の容姿、聡明さ、兄妹愛が目に見えるような文章になっています。

数ヶ月後、もう一度読みたくなるでしょう。また違った気づきがあるはずです。

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