主人公の少女カイアが心配『ザリガニの鳴くところ』

『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア・オーエンズ、友廣純訳)

今年読んだ本で、いまのところ一番新鮮、奇抜で、そして心に沁みる小説でした。原書『Where the Crawdads Sing』が数年前からAmzon USA でベストセラーになっていたことは知っていましたが、書店で翻訳小説部門本屋大賞になっていた分厚い『ザリガニの鳴くところ』のプロローグを読んだときの印象は、「なんだか翻訳上手いな!、原書ではどう書かれているのだろう」でした。

この小説は、「殺人ミステリー小説」でしょう。しかし「サバイバル小説」、「ロマンス小説」、「自然環境ドキュメンタリー」、「貧困差別社会小説」、そして「法廷小説」とも言える内容になっています。

この小説にはまってしまうのうは、遠く町から離れた湿地帯のバラック小屋に、親、兄弟に置き去りにされた主人公の6才の少女カイアが一人で生きようとする姿に対して思入れが強くなってしまうからでしょう。たくましく、賢明な少女のサバイバル生活、そして少女から女性に成長していく姿にはハラハラさせられます。

作者のディーリア・オーエンズ(Delia Owens)が生物、動物学者であることから、主人公のカイアが愛した湿地帯の植物、動物、鳥、昆虫などを精細に描写している。

良くも悪くも、野性的で美しい彼女に二人の男性が関わり合う。 そして殺人事件が起こる。

物語の舞台は1950 年からです。あらすじ、結末は誰にも言えません。

冒頭のプロローグの冒頭を引用

湿地は、沼地とは違う。湿地とは光が溢れ、水が草を育み、水蒸気が空に立ち昇っていく。緩やかに流れは川は曲がりくねって進み、その水面に陽光の輝きを乗せて海へと至る。いっせいに鳴きだした無数のハクガンの声に驚いて、脚の長い鳥たちがーーまるで飛ぶことは苦手だとでもいうようにーーゆったりとした優雅な動きで舞い上がる。

翻訳書を読み終えた後、Kindle版の原書を読み始めました。湿地、沼の植物、鳥、昆虫などの単語が難しい。翻訳書から読んで良かったようです。

原書では(Kindle版のスクリーンショット)

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