映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぽっちのサリンジャー』

「The Catcher in the Rye」の原書を購入したのは、約45年前、20代前半の頃でした。とても難しかったです。10ページも読まないうちに挫折してしまいました。この小説は会話が多いため、主人公のホールデンと若者たちの会話が理解できませんでした。また、1950年前後のアメリカの時代背景がイメージできませんでした。

先日、映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぽっちのサリンジャー』が上映されていることを知り、映画を観る前に原書を再度読み始めました。依然として難しい部分はありましたが、年の功ということもあって、最後まで読むことができました。

『ライ麦畑の反逆児 ひとりぽっちのサリンジャー』

映画は、実業家だった父の反対を押し切ってコロンビア大学に入学して小説家を目指すサリンジャーの物語から始まります。彼は自分の作品のストーリーを絶対に曲げない変人的なこだわりを持ちつつ、出版することに必死になっていました。この点は、著名な多くの小説家と同様でした。

『the Catcher in the Rye』は、彼の最初の長編小説であり、第二次世界大戦をまたいで書かれました。映画で明かされたことによると、サリンジャーは志願して陸軍に入隊し、ヨーロッパ戦線に派遣され、ノルマンディー上陸作戦に参加していました。しかし、激しい戦闘と悲惨な体験により、彼の精神は異常になり、復員後も小説を書くことができない状態が続きました。インド系の寺院のような場所で瞑想の指導を受け、自分を取り戻し、再び書き始めました。

『the Catcher in the Rye』の主人公である少年らしくない狂ったようなホールデンは、大手出版社からは拒否されました。しかし、出版されると、若者たちの間で圧倒的な人気を博し、大ベストセラーになりました。出版から70年が経過した現在でも、売り上げは継続しています。

しかしながら、この成功がサリンジャーが文学界から去った原因となりました。彼は熱狂的な若者ファンに悩まされ、静かな環境を求めて山の中に家を建て、移り住んだのです。その結果、その後も彼は書いたものを出版することを止め、社会から孤立した生活を送っていました。

サリンジャーは、インタビュー取材には絶対に応じなかったのですが、地元の高校生がインタビューの申し入れをしたため、それを受け入れました。しかし、そのインタビューが大新聞に取り上げられ、彼はだまされたと知り、それ以降、地元の高校生との交流を断ちました。

ただし、その仕組まれたインタビューの中で、「この小説のモデルはサリンジャーさん自身ですか?」という質問に対して、「前半の部分は自分がモデルである」と答えていたことが明かされました。サリンジャーは、小説の主人公であるホールデンのような変人であったが、同時に人を洞察する繊細な少年でもあったのでしょう。

映画を観ることで、彼の小説に戦争の匂いがないことに疑問を抱いていた筆者も納得しました。

映画はプライムビデオで観ることができます。

原書『the Catcher in the Rye』
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村上春樹翻訳
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